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今年4月、シンガポール政府は2009年までに、カジノを開くことを決定しました。 カジノだけではなく、家族も楽しめる、総合リゾートを、2箇所にオープンします。 旅行先としてのシンガポールの魅力が一気に高まることになるでしょう。 この巨大プロジェクトの予算は、2つ合わせてS$50億(約3300億円)で、 35000人の雇用が創出されます。 リゾートがオープンした後は、10000人が雇用されシンガポールGDPを 0.3ー1.3% 押し上げることになると 言われております。 総合リゾートが建設されるのは、シンガポールの観光島であるセントーサ島(開発用地面積 35.6ha)と、 ビジネス街の入り江を挟んだ対岸であるマリーナ・ベイフロント(開発用地面積 13.5ha)の2箇所。 セントーサ島には、テーマパークも併設し、より家族志向の強いリゾートが建設され、マリーナ・ベイフロントには、 国際会議や展示会の来訪者など、大人をターゲットにしたリゾートが作られます。 プロジェクトの予算はそれぞれ、セントーサがS$20-30億、マリーナ・ベイフロントS$20-40億ドルになる見込みです。 マリーナ・ベイフロントは高速道路沿いにあり20分程度で空港に着くことができる。 シンガポールの訪問者は3-4時間の飛行機の乗り継ぎの間でもカジノを楽しむことができるようになるでしょう。 カジノの計画は、簡単に承認されたわけではありません。 カジノが開かれたら、多くの国民がギャンブルにのめり込み、破産者が増え、治安が悪化する、もともとクリーン・ シティを目指してきたシンガポールにそぐわないという主張と、シンガポールを国際的に魅力のある国にして ゆかないと経済成長を堅持できないという主張がぶつかり合い、内閣の中でも喧々諤々(けんけんがくがく)の 議論が一年以上に渡り重ねられてきました。 しかし結局は、電子部品産業など、建国以来、経済を牽引してきた製造業の競争力が失われてきているなかで、 シンガポールをもっともっと魅力のある国にする必要があるという現実認識から、カジノもやむなしという結論と なったものです。 シンガポール人、特に華人はギャンブルが大好きです。 大衆ギャンブルであるマージャンを楽しむ国民は多く、 住宅地を歩くと、特に週末にはジャラジャラという音があちこちから聞こえてきます(ただし、お金をかける マージャンは違法)。 これまでカジノでギャンブルを楽しみたいと思ったら、マレーシアのゲンティン・ハイランド(クアラルンプールから 車で2時間程度)まで行くか、もしくはクルーズ船に乗り、公海に出てから開かれるカジノを楽しむしかありません でした。 シンガポーリアンが海外で使ってきたギャンブル代は、S$12億ドル程度と言われ、このお金が自国に 落ちるようになるだけでも大変な経済効果です。 ギャンブル中毒による家庭崩壊などの社会的な問題を回避するため、シンガポール人はS$100ドル程度の 入場料を課せられるほか、家族が申し立てればカジノへの入場ができなくなるという制度の導入や、ギャンブル 中毒者へのカウンセリングサービスなど、総合的なセイフティー・ネットが構築されるとのことです。 シンガポールの第一政党であるPAPは、政府の役割について踏み込んだ考え方をもっています。 簡単に言えば、「人間は常に冷静で正しい判断を下せるとは限らないので、国を良い方向に導くためには、国民に 対する社会的な指導も含めて総合的なリーダーシップを発揮することが、政府の役割である。」という考えです。 宗教的な価値観を損なわせることなく、国民としてのアイデンティティーをより強く国民に感じさせようとする姿勢や、親・兄弟の絆を大切にすることや、シンガポールの将来のためには教育がいかに大切かを強調する姿勢に、 シンガポール政府が、国民の「親」の役割を果たそうとしている、と感じ取ることができます。 カジノの管理運営は、民間に任せ過ぎるといろいろな問題を引き起こすことになります。 国家、国民のためには、ある程度、反自由的な政策もいとわない強いリーダーシップを持ったシンガポール政府から こそ、カジノの負の影響をいろいろな方策で封じ込め、バランスの取れたカジノ運営ができるのではないでしょうか。 ( 25 APR 2005 )